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2019年8月8日
「老後赤字2000万円」の誤解

(年金、福利厚生、ライフリスク) 
 6月初めに金融庁の市場ワーキング・グループでまとめられた報告書が反響を呼んでいます。報告書の内容は、「老後の生活には2000万円不足するから、それを自助努力で賄おう」というものでしたが、報道などでは「2000万円不足」の部分が強調されたため、世間では「年金が破綻する」や「保険料を払っても将来年金を受け取れない、詐欺だ」などといった誤解が広まりました。
 この「2000万円の不足」の根拠については、老夫婦世帯では月に「平均21万円の年金」を受け取り、「平均26万円の支出」があるため「平均5万円が不足する」という総務省統計局の2017年家計調査から出た数字が元になっています。この不足額が30年続くという前提であれば、累計赤字が2000万円近くなるということです。しかし、この平均値が全ての人に当てはまるかのように絶対視し、「2000万円不足」という金額のみを強調して取り上げられるのには違和感があります。
 金融庁の報告書自体は、実は至極まともな内容であり、「年金だけでは豊かに暮らせない」ことは、だれもが知っていることです。大切なことは、一人一人が老後の準備について真剣に考えることではないでしょうか。まずは、国の年金制度の仕組みを知り、会社の退職金・企業年金、それに加えて「自助努力での備え」の必要性を考えてみましょう。
 サラリーマンの場合、国の年金制度は基礎年金と厚生年金の2階建てになっています。基礎年金は加入期間によって年金額が決まり、厚生年金は加入期間と平均給与額で決まります。さらに会社で退職金や企業年金制度がある場合は、金額のモデルや受け取り方なども確認しておきましょう。
 また退職後の選択肢も考慮し、例えば再雇用で長く働ける場合には年金の支給開始年齢の繰り下げを行うなど、退職後のプランニングも必要です。
 それに加えて、自助努力での老後資金の準備を有利に行う方法としては、先日のコラムでもご紹介した「オデコ(選択制確定拠出年金)」があります。
 「2000万円不足」問題から端を発した年金問題ですが、国の年金だけを頼りにしているだけでは豊かな老後は暮らせません。早いうちから自助努力を行うことによって、豊かな老後か、貧困生活か、差が生じてきます。

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