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新型コロナが変える働き方 その3
テレワークで見えてきた課題
~社員の仕事の役割責任を明確に~

【2020年6月14日】(リスクマネジメント、人事労務管理、働き方) 
 前回はテレワーク(在宅勤務や会社外でのリモートワーク)によって、働いた時間で賃金が決まる従来型の「時間給制」から、仕事の成果、何をやったかが求められる「成果給制」への移行の動きが加速すること、そして社員には、仕事に自律的に取り組む姿勢が求められることを取り上げました。

 テレワークを活用するにはもう一つの鍵があります。それは、仕事の中身が明確になっているかどうかです。社員が“きちんと仕事をしている”か、すなわち「成果をあげているか、役割を果たしているか」どうかを把握して評価するためには、社員一人一人が担当する仕事の役割と責任が明確になっていることが必要です。

 「時間給制」では、会社が定める勤務時間を守って職場で仕事をしていれば“きちんと仕事をしている”ように見られます。残業している社員は頑張っているとみられがちです。同じ仕事の成果を出していても早く帰る社員は、むしろ冷ややかな目で見られがちです。
 「成果給制」では、出勤による勤怠管理は出来ませんし、勤務状況を上司がいつも見ていることも出来ません(テレワークでの勤怠管理は改めて取り上げます)。仕事をきちんとする=成果を上げる、役割を果たすことをすればよいのです。しかし、この“仕事”の中身、その社員の役割と責任が明確でないと、仕事をきちんとしたかどうかの評価が出来ません。

 多くの日本企業では、仕事の中身、職務の役割と責任が明らかでないことがよくあります。
 欧米企業は、職務内容を明確にしてその職務に適した人材を採用するので、職務内容はそもそも明確です。一方、日本企業では、”従事する業務内容は会社が定める”と就業規則に書いているだけで、個別の業務内容が明確でない、不文律で暗黙の了解的になっています。
 人事制度や賃金体系も、社員の能力を基軸にした職能型が大半です。年数を重ねて経験を積むと熟練して業務も早くなるので、職能型は結局のところ年功序列型になります。ずっと同じ仕事をしていても賃金は上がるので、これでは生産性は上がりません。また事業環境が変わって仕事内容が変わる時に、その変化についていけません。

 テレワークは、この人事制度上の課題をもあぶりだします。「成果給制」になるためには、人事制度自体も、担当する職務の役割・責任を基軸にする「職務型制度」に変えなければなりません。
 テレワークを機会に、大企業でもようやく職務成果中心の人事制度と賃金体系に移行しようとしています。中小企業には、むしろ時代の流れを先取りするために、職務型人事制度に舵を切る絶好の機会と言えます。アフターコロナに生き残るためには、会社の人事制度変革と社員の意識転換が必須です。

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