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2019年12月23日
まだまだ使える法人向け「節税保険」
~活用法と注意点 その1~

(法人保険、リスク、税金、経営者保障)
 
 高額な保険料支払いで利益を圧縮できて、支払った保険料は返戻金で取り戻せるので、事業利益を現金で持つよりも保険積立の方が節税できて有利、という切り口で中小企業の経営者を中心に人気を集めたのが「節税保険」でした。
 しかし今年4月の国税庁による新課税ルールによって従来商品の販売停止に、生保会社は追い込まれました。

 新課税ルールでは、保険を中途解約した場合の“返戻率”の最高値に応じて、経理処理基準(保険料の損金算入)が変わりました。

 返戻率が50%以下と低めであれば保険料は従来通り全額損金、返戻率が50%超~70%以下であれば6割が損金、70%超から85%以下であれば4割が損金、それ以上の返戻率であれば損金比率はさらに低下します。

 これまでの節税保険ブームは急速にしぼんだ感がありますが、新課税ルールの下でも、従来同様の節税(課税の繰り延べ)効果を得ながら外部に資金を留保しつつ、経営者の大型保障を割安に確保できます。その一例を次に見てみましょう。

 なお注意して頂きたいのは、“節税”保険と言っても、会社が支払う税金額が減るわけではありません。保険料を損金算入することで、当期費用は増えるので当期の税額は確かに減ります。しかし、将来、保険を解約して返戻金を受け取る際には、返戻金は雑収益となり課税対象なので、そこで税金負担が発生します。退職金支払い費用と解約返戻金収益とを損益通算することで、解約返戻金の課税を避けるとも言われますが、トータルで見ると税負担総額は変わりません。

 では何がメリットかというと、会社の資金繰りが平準化される。損益のアップダウンが抑えられるということは言えます。また何よりも、何かあった時にすぐに使えるキャッシュが外部にプールできる、という経営者にとっての安心感もあります。

 そもそも保険は保障を確保する目的の商品ですから、経営者に万一の場合の保障確保も重要な観点です。
 例えば、1億円の死亡保障で、解約返戻金の積立がある保険商品の場合、50歳男性社長の場合で、年払保険料約428万円(死亡保険金1億円)で加入し、60歳時点で退任するので保険を解約すると、返戻金が約3,543万円、10年間の実質保険料負担が約3,532万円なので、実質返戻率は約100.3%となります。見方を変えれば、1億円の大型保障を実質負担ゼロで10年間確保できたことになります。65歳時点では、保険解約返戻金が約5,129万円、15年間の実質保険料負担が約4,955万円なので、実質返戻率103.5%になります。これによって、1億円の大型保障を実質ゼロ負担で(むしろお釣りがくる)確保しながら、多額の退職慰労金の積立準備ができるということです。

 使える法人契約の節税保険は、まだまだあります。

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