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2019年6月13日
「働き方改革」で、中小企業はどうなる?
忙しい社長のためのガイド(その3)

(働き方改革、同一労働同一賃金、諸手当、福利厚生) 
 「働き方改革関連法」の第2の柱、“公正処遇の確保”について

 同一労働同一賃金、といわれていますが、パート社員等の非正規社員がやっている仕事が、正社員の仕事と同等であれば、待遇を同じにするということです。実際に、ベテランパート社員が、正社員以上の働きをしていることはよくあります。非正規という理由で待遇に“不合理な差”をつけてはいけない、ということですが、何が“不合理な処遇の差”なのかが、わかりにくいところです。そこで厚労省は次のような指針を出しています。また待遇差がある場合は、会社に説明義務があります。

<正規と非正規の待遇について>
違いがあって
はいけない
各種手当 出張手当、通勤手当、深夜・休日手当、単身赴任手当など
福利厚生
食堂・更衣室などの利用、病気休職、慶弔休暇など
違いがあって
もよい
基本給 能力、経験、成果などに差があれば、違いに応じて支給額を変えてよい
賞与 業績への貢献に差があれば、違いに応じて支給額を変えてもよい

 そこで、中小企業にとって問題となるのは、正規と非正規の仕事(労働)の内容をきちんと区別しているか、という点です。実態として、ベテランパート社員が、入社して数年程度の正社員よりも仕事が出来るという場合、「能力・経験・成果に差があるなら(非正規社員>正社員)その違いに応じた給与にする」、即ちパート社員の給与アップになります。また、各種手当を同一処遇にするとなると、当然、人件費アップになります。さらに、福利厚生面では、「退職金制度」を非正規社員にも適用するとなると、これまた人件費アップになります。
 政府の狙いは、日本の非正規の賃金水準を、現状の正規の6割程度から、欧州諸国並みの7~8割に引き上げることで、不合理な差がなくなれば、自主的に非正規を選ぶ人も増えてきて柔軟な働き方が広がる、ということにあるようです。
 しかし、企業経営者にしてみれば、労働内容は変わらないのに人件費だけアップにつながるとなると経営がアップアップになるので、逆に、正規の待遇を下げることで正規と非正規の差を縮めてトータル人件費を抑制しよう、と考えたくもなります
 「労使の合意なく正規の待遇を引き下げることは、望ましい対応ではない」と厚労省は指針で述べていますが、法的拘束力はないので制度の抜け穴と言えます。
 仕事のやり方を変えて、生産性を上げることが働き方改革の本来の目的です。
 その為にも、仕事内容の棚卸しと目標意識を強くして、社員の仕事力を高める“自律型目標管理制度(MBOSC)”を導入・活用されてはどうでしょうか。

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