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2019年5月20日
「働き方改革」が求める“同一労働同一賃金”
この機会に人事制度改革を。

(働き方改革、人事制度、賃金、評価) 
 「働き方改革」の一つとして「同一労働同一賃金」が、大企業は来年4月から、中小企業は再来年4月から始まります。正社員と非正規社員の不合理な待遇差を禁じる制度ですが、よくあるケースは、ベテランのパート社員が正社員と同じ仕事をしている(できている)場合などです。単純にパート社員の給料を正社員並みに上げることにすると、人件費増で終わってしまいます。重要なことは、この機に“公正”な賃金制度に作り直して、正社員、非正規社員、両方のヤル気を高めて生産性を上げることです。
 厚労省の指針では、能力や経験、成果、勤続年数などに違いがあれば、それに応じて正社員と非正規社員の基本給に差があることは認められています。賞与も、会社業績への貢献度に応じて支給額を決めることが出来ます。重要なことは、なぜ賃金の差があるのか、待遇の違いや理由を明確に説明できることです。
 ところが日本企業では、規模の大中小を問わず、従業員が担当している職務の内容と責任の範囲は何か、会社から何が求められているのか、会社にどのような貢献をしているのか、職務の成果が昇給・昇格にどうつながり、賞与支給額にどのように反映されているのか、等々が全ての従業員に分かるように明示されていることが少ないようです。 
 日経新聞5月19日朝刊の社説では、「望ましいのは職務ごとに対価を決め、成果に対する報酬の算定ルールも明確にし、公正で透明性の高い賃金制度をつくること」としています。実は、これがそう簡単ではありません。日本企業の採用方針は、その人の基本給範囲を設定して、給与に見合うヒトを採用して配属(業務)を決める傾向にあります。特に新卒学生の一斉採用がその典型です。一方、欧米企業では、仕事(業務)の内容と仕事の対価(報酬)を明示して、その仕事ができる人材を、通年で必要に応じて採用します。
 となると、賃金体系の基本軸を“ヒト”から“仕事(職務)”に移すことが必要です。同時に、従業員の行動や成果を公正に“評価”して賃金制度に反映することも重要になります。会社が従業員に対する説明義務を負う、ということです。
 これまでも人事考課は行っているが従業員へのフィードバックが出来ていない、という企業にとっては、これを契機と捉えて、従業員のヤル気を引き出し業績向上につながる賃金体系&評価制度に向けて、人事制度を見直してはいかがでしょうか。

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