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2019年2月14日
「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」
(リスクマネジメント、事故防止、人材教育)
不祥事の謝罪会見でよく聞くセリフに、「今回の原因は人為的ミスでした。社員教育を徹底して、今後の再発防止に努めます」があります。しかし、社員教育で再発防止は本当に出来るのでしょうか。
ひとつの事例が、2005年に起きたJR西日本尼崎脱線事故にあります。乗客106人の命を奪ったJR史上最悪の事故がなぜ起きたのか、事故当時、会社は運転士に責任を押し付けていましたが、原因を探り続けた結果、事故当時と真逆の結論にたどり着きました。
「ヒューマンエラーは原因ではなく、結果である。事故の真因は、会社組織にある。」会社は明確にそう結論づけました。“収益を高めるために、ダイヤ改正で速度アップと高密度ダイヤを決定し、経営層と技術陣や現場がバラバラに対策をとり、その結果、経営トップは現場や安全技術を軽視して、利益増を狙った施策に邁進する。過酷な日勤教育が処罰的に課されることを恐れて、現場は小さなミスを上司に報告せず隠しておいて何とか現場対応で凌ぐことを繰り返す、その結果がスピードを落とさずにカーブに突入することにつながった。”
JR西日本は、事故前と発想が逆転したそうです。「現場が気付いた変化や、小さなミスを吸い上げて、会社全体で共有しなければ安全は確保できない」、現場から報告を上げてもらい、ミスやエラーは処分しない、と決めました。その結果、年間3,000から4,000件だった報告が1万4,000件と4倍に跳ね上がったそうです。それだけ事故の芽が沢山あったということで、この報告を基に危険につながる兆候を潰していく、経営判断には必ず安全対策をセットにする、と変わったそうです。「故意でない限り、ミスや異変は会社にとって大切な経営情報。報告をありがとう、と歓迎している」
人間の弱い心理から、小さな失敗を表沙汰にならないようにする傾向はよくあります。現場の声に耳を傾けないで、現場の事象に目配りすることなく、経営陣のトップダウン判断が独り歩きしだすと危険です。日本企業は、「失敗を個人の責任に押し付けて蓋をして、それで組織の問題が解決したと片づけてしまう傾向が強い」そうです。
この警鐘を他人事と片付けずに、一度、振り返ってみましょう。
不祥事の謝罪会見でよく聞くセリフに、「今回の原因は人為的ミスでした。社員教育を徹底して、今後の再発防止に努めます」があります。しかし、社員教育で再発防止は本当に出来るのでしょうか。
ひとつの事例が、2005年に起きたJR西日本尼崎脱線事故にあります。乗客106人の命を奪ったJR史上最悪の事故がなぜ起きたのか、事故当時、会社は運転士に責任を押し付けていましたが、原因を探り続けた結果、事故当時と真逆の結論にたどり着きました。
「ヒューマンエラーは原因ではなく、結果である。事故の真因は、会社組織にある。」会社は明確にそう結論づけました。“収益を高めるために、ダイヤ改正で速度アップと高密度ダイヤを決定し、経営層と技術陣や現場がバラバラに対策をとり、その結果、経営トップは現場や安全技術を軽視して、利益増を狙った施策に邁進する。過酷な日勤教育が処罰的に課されることを恐れて、現場は小さなミスを上司に報告せず隠しておいて何とか現場対応で凌ぐことを繰り返す、その結果がスピードを落とさずにカーブに突入することにつながった。”
JR西日本は、事故前と発想が逆転したそうです。「現場が気付いた変化や、小さなミスを吸い上げて、会社全体で共有しなければ安全は確保できない」、現場から報告を上げてもらい、ミスやエラーは処分しない、と決めました。その結果、年間3,000から4,000件だった報告が1万4,000件と4倍に跳ね上がったそうです。それだけ事故の芽が沢山あったということで、この報告を基に危険につながる兆候を潰していく、経営判断には必ず安全対策をセットにする、と変わったそうです。「故意でない限り、ミスや異変は会社にとって大切な経営情報。報告をありがとう、と歓迎している」
人間の弱い心理から、小さな失敗を表沙汰にならないようにする傾向はよくあります。現場の声に耳を傾けないで、現場の事象に目配りすることなく、経営陣のトップダウン判断が独り歩きしだすと危険です。日本企業は、「失敗を個人の責任に押し付けて蓋をして、それで組織の問題が解決したと片づけてしまう傾向が強い」そうです。
この警鐘を他人事と片付けずに、一度、振り返ってみましょう。